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注目の著者インタビュー

迫 勝則さん

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『神さま、そろそろカープに優勝を!』

2012/07/03

『神さま、そろそろカープに優勝を!』(宝島社 1300円+税)

●なぜ、このようなタイトルをつけたのですか?

 出版社からは、これまでの『前田の美学』『カープの美学』に続く第3弾として『若鯉の美学』というタイトルで書いてもらえないか、と依頼がありました。ところが、そうなると完全にシリーズ化されてしまいます。マーケティングの観点から言えば、シリーズ化されたものはほぼ間違いなく部数が落ちていきます。それに『若鯉の美学』では、私の書きたいこととイメージが一致しませんでした。
 実は『神さま、そろそろカープに優勝を!』というタイトルは私が提案させていただいたものです。今年は平清盛ブームで、厳島神社をはじめ“神さま”がブームになると予想しました。それに、私がコメンテーターを務めていた広島テレビの1階に「カープ神社」というのがありまして、そのとなりが出演前の控え室でした。毎週、「カープ神社」を目にしていると、「そうだ! この本をカープ神社に奉納しよう」と思いました。表紙に使った大きな杓文字は、その神社に飾ってあったものなんですよ。カープがリーグ初優勝を決めた1975年に選手たちがサインを寄せ書きした、貴重な杓文字です。もう20年も優勝から遠ざかっていますからね。「いよいよ、神だのみですか」と話題になればおもしろいと思いました。

●今シーズン、ここまでのカープをご覧になって、いかがですか?

 やや不調ですが、まだ3位を争う可能性は十分あると思います。前半はたくさんの“コマ”をそろえて、チームの戦力を整える時期です。栗原が倒れ、ニックが倒れ、東出が倒れ、ファンはみんな心配しているでしょうが、それは逆に絶好のチャンスなんです。その穴を狙って、若い選手たちがどんどん出てきますからね。今ぐらい負けていても、むしろ、私はポジティブに捉えています。今年はいいんじゃないですか。本当に勝負にこだわるのは、8月からですよ。

●本の中で迫先生がイチオシされていた堂林翔太選手が活躍していますね。

 この本が出版された3月9日時点では、まだ一軍経験すらなかったんですよ。私が堂林に注目した理由は、昔の高橋慶彦そのものだからです。当時、古葉監督は、外野手だった高橋慶彦を内野のショートに抜擢したんです。コーチ陣はそろって反対しました。でも、古葉監督は「おまえが出てくるか、わしがクビになるかどっちかだ」と言って、使い続けました。結果的に、高橋慶彦は日本を代表する遊撃手になりました。
 今、野村監督もまったく同じ状況です。どんなに堂林が打てなくても、代打を送りませんよね。野村監督は堂林にかけているんです。「三振を恐れるな」と言って、三振で勉強させています。その結果、堂林はあの若さでピッチャーの心理を読み始めました。今年は野村バッシングが激しいですが、私はとても能力のある監督だと見ています。野村監督が監督に就任して最初のドラフト会議で指名したのが、1位・今村、2位・堂林ですからね。徹底的に研究した上で獲得した選手です。この二人が、今のカープを支えています。
 堂林のほかにも注目の若手選手を何人か挙げていますが、今2番を打っている安部もその一人です。私が書いたとおりに活躍し始めたので、家内が「野村監督も読んでるんじゃないの」と冗談を言っていました(笑)
 ちなみに、今のカープで最も興味のある選手は今村です。あの、ふてくされた態度が大好き。“前田の美学”と共通するところがあります。監督に怒られても、顔色ひとつ変えずにマイペースだしね。佐々岡さんから聞いたおもしろいエピソードがあります。入団1年目か2年目のキャンプで、佐々岡さんが今村に「変化球を投げてみてくれないか」と声をかけたそうです。大先輩からの頼みですよ。それを、「今は、その球を投げる時期じゃないんで」とあっさり断ったそうです。易々と応じないところがいいですね。彼は大成すると思います。

●最も力を入れて書いた章は?

 第7章「プロ野球ファンが日本社会を支える」は、とても重要なことだと思って本気で書きました。広島市民がカープを軸にして原爆の悲劇から立ち上がったという事実は、頭では理解していましたし、著書にも書いてきました。しかし、2011年3月の東日本大震災から立ち上がろうとしている人々とスポーツとの関わりを見ていて、初めて心から理解できました。「こういうことだったのか。わかったぞ」と。読者は気付かないと思いますが、私にとって第7章は大変感じるところがありました。
 第8章で雑談のように書いた“プロ野球解説者”については、プロの方々にウケました。本来、私はこういう、おもしろおかしく書くパロディーが得意なんですよ。

●膨大な情報やエピソードを、どのようにして集めたのですか?

 私はとにかく、野球が好きなんです。新聞の小さな記事でも、スッと吸収します。カープ関連の講演会をさせていただく時は、来場者にアンケートをとらせてもらい、ファンの生の声を集めます。これが、すごく参考になります。実は、選手に直接取材をすることは少ないんです。木下さん、池谷さん、佐々岡さんなどOBの方には会う度にいろいろな話を聞きますけどね。
 本に書いたエピソードの多くはすでに報道されていることです。それに、自分の意見や想像を加えて、ストーリーを書き上げています。想像ははずれていないと思いますよ。時に、本人さえ気がつかないことを書いているかもしれません。以前、テレビ番組で廣瀬選手とご一緒したときのことです。私が「あの時期は、完全にピッチャーより気持ちが勝っていましたよね」と言うと、「先生、そのとおりです! ちょうどあの頃、メンタルトレーニングを取り入れたんですよ」と興奮した様子で答えてくれました。野球のおもしろさは、選手のメンタルを読むところにあると思います。ピッチャーが優位に立つか、バッターが優位に立つか、勝負はメンタルで決まってきます。

●シーズン後半のカープの戦いに、どんな期待を寄せていますか?

 まだまだ、あきらめる時期ではないし、オールスターまでに借金2ぐらいまで減らせればね、後半戦にもっと期待できると思います。2003年に阪神がリーグ優勝した時も、2005年のロッテ、2006年に日本ハムが日本一に輝いた時も、序盤はたいしたことなかったんですよ。それがシーズン途中から「あれ?」って感じで勝ち進みました。カープも、優勝するなら同じようなパターンを辿ると思います。そんな「あれ?」という嬉しい誤算が訪れてほしいなぁ。そんな思いも『神さま、そろそろカープに優勝を!』というタイトルに込めています。

●この本で読者に伝えたいことは何ですか?

 私は徹底的なカープファンですから、この本を読んだ方にも仲間になってもらいたいですね。カープファンが一人でも増えればいいな、という単純な思いで書きました。この気持ちが本を出す上での原点です。

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迫 勝則さん

著者プロフィール

迫 勝則

1946年広島市生まれ。山口大学経済学部卒。2001年にマツダ株式会社を退社。現在、広島国際学院大学現代社会学部長(教授)。著書に、『さらば、愛しきマツダ』(文藝春秋)、『広島にカープはいらないのか』(南々社)、『前田の美学』『カープの美学』(宝島社)などがある。

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