広島の本|広島の出版物と、広島にゆかりのある出著者・出版物を検索・紹介するWebSite

注目の著者インタビュー

『カープ魂 33の人生訓』

坂上俊次さん

1

『カープ魂 33の人生訓』

2011/08/08

『カープ魂 33の人生訓』(サンフィールド発行 1300円)

 この本は『広島アスリートマガジン』に連載してきた記事をベースに加筆・追加取材してまとめました。連載を担当するようになったきっかけは三村敏之さんでした。当時は入社5年目で経験の浅い僕に「取材はちゃんとしとけよ」と言って、『広島アスリートマガジン』の連載の話を持ってきてくださったのです。「原稿が足らん分は俺がしゃべったことを書けばいい」と。最初は2500文字が途方もなく長く感じましたよ。だから困ったときには「野球解説者の三村氏によると……」という書き出しで原稿を埋めました。
 2004年からスタートした連載は2011年11月号(10月25日発行予定)で100回を迎えます。掲載誌は、取材させてもらった選手用に毎号2冊とるようにしてきました。1冊は発行後すぐに手渡しします。そしてもう1冊は、いつか選手から「記念にほしい」と言われたときのために僕が持っています。だから自宅の部屋は掲載誌でいっぱい! 縦に積み上げると僕の身長を超えますよ。バックナンバーを見るときはそれらをひっくり返して探すから、もう大変です。「この大量のバックナンバーが一冊の本だったら便利なのに……」というのも、出版する動機のひとつでした。それに、ずっと本を出したいと思っていました。放送局の仕事はテレビもラジオも形としては残りません。だから形に残るものを作りたかったのです。
 一般的にアナウンサーは表に出る仕事ですが、この本ではアナウンサー色を出さないことをテーマにして書きました。主語に「私は」を使ったのは、まえがき、あとがき、三村さんの章で一度だけです。あくまでも主役は選手。そういう意味では野球の実況と同じかもしれません。実況していると「よく3時間もしゃべれるね」と言われることがありますが、それは選手たちが投げて打ってくれるからです。選手あっての仕事です。今回の執筆もカープの選手たちが取材に協力的だからできました。これがもし僕の自伝だったら、一冊はおろか2000字も書けませんよ(笑)

 本はカープの現役選手とOB合わせて33人のストーリーで構成されています。第一線で活躍している旬な選手もいれば、そうでない選手も含まれています。野球中継には現役で一軍の選手しかカメラに映りません。僕はカメラの前以外の選手にも注目してもらいたいと思っています。だから、二軍でがんばっている選手や10年も経たないうちに現役を引退した選手の話も残したくて33人のリストに入れました。
 それぞれにドラマがありますが、共通点も見つかりました。それは、現状分析力(自分のおかれている立場と役割を理解する力)と“ぶれない”ことです。例えば、比嘉寿光さん。入団記者会見で言ったことと、現役を引退してカープ球団の広報を務める今の言葉が同じなんです。彼は「どんな形でもいいので、カープの役に立ちたい」と言っていました。ぶれてないんですよね。
カープ選手の共通点は粘り強さです。これはカープが“育てる球団”だからでしょう。一軍に上がるまで年数がかかるし、ケガをしたら契約を更新しないというわけではない。河内貴哉投手を例に挙げると、育成選手にしてでも残しています。待ってくれる人と待ってくれる球団があるから、カープ選手にはドラマが生まれるのだと思います。
僕自身、毎月取材をしながら必ず何かが自分にオーバーラップします。あきらめちゃいけない、もっと感謝しなきゃいけない、とかね。なかでも一番の指針は三村さんの言葉です。「任運自在」。三村さんは生前、何度もこの言葉を口にされていました。実は僕が20代のころは、何事も運まかせみたいに聞こえて嫌いでした。だけど30歳を過ぎて、三村さんが亡くなった今はよくわかります。やれることを精一杯やったからこそ、どんな結果もスッと受け入れられるのです。あとは運に任せればいいと思えるぐらいやることなんだ、と思えるようになりました。この本でもやれることは精一杯やったので、売れ行きに関しては任運自在です(笑)

 この本の一番のねらいは、ビジネス書と間違えて手にとってくれたらいいな、ということです。書店でも間違えてドラッカーの本のとなりに並べられたらいいな(笑) だからカープファンはもちろん、そうでない方も本を読んで「明日からがんばってみよう」と思ってもらえるとうれしいです。

1
坂上俊次さん

著者プロフィール

坂上俊次

さかうえ・しゅんじ/1975年12月21日生まれ。兵庫県出身。1999年に中国放送に入社後、アナウンサーとしてRCCカープ中継の実況やリポートを担当。野村謙二郎現監督や前田智徳選手の2000本安打達成、佐々岡真司氏の引退試合を実況するなど、カープ運には恵まれている。『広島アスリートマガジン』の連載のほか、『週刊ベースボールマガジン』への寄稿など執筆業でも活躍中。

注目の著者インタビュー一覧

Copyright@Themediasion.co.,ltd  相互リンクはこちら
株式会社ザメディアジョン 新卒採用のコンサルティング・アウトソーシング 広島グルメwalker 合同説明会&就職勉強会